カレェちゃん

ヤンゴンにいたカレェちゃんです。最近は働いています。賃金労働に反対している。

私の卒論について

こんにちは、カレェちゃんです。

今日は私の卒論についてお話ししようと思います。今年の3月に学部を卒業する予定で、1月6日に学位論文を提出しました。今年は紙に印刷することもなかったので手続き面では楽でしたが、人生で一番長い文章を印刷してみたかったな、という思いはあります。

 

私の論文テーマは「ミャンマー人女性の体毛について」です。すごく突拍子もないテーマですが、大学1年生の時に初めて訪れたミャンマーでカルチャーショックを受けることがあり気になりだしたテーマです。

ミャンマーでは年中温暖な気候で、半袖を着る人が多いのですが、そこから見える女性の腕にも毛がそのまま生えています。日本生まれ日本育ちの私は、それを初めて目にしたときに驚きと共に羨ましさを感じました。女性に腕毛があってもなにも起こらない社会なんて、なんて住みよいことだろう。女性の体毛が文字通り毛嫌いされている日本でその価値観をすっかり内面化していたものの、どこか生きづらさを感じていた私には、ミャンマーの女性たちの腕毛が自由の象徴のように輝いて見えました。その後大学2年の秋頃にフェミニズムと出会い、自身の感じる生きづらさを受け入れることができ、体毛処理についても考えるようになりました。

同じ頃には3年の秋から始まるミャンマーへの10カ月の留学も、せっかくだし行こうかなあと何となく考えていたので、「ミャンマー人女性の体毛処理について」をテーマに据えて向こうで調査をしてしまおうと思い立ちました。といっても留学前に準備したことといえば、文化人類学の本やフィールドワークの方法に関する本やフェミニズムに関する文献などを読む程度でした。先行研究を読むために、CiNiiで日本語で検索してみたものの思ったものが見つからず、体毛について研究してる人ってもしかして世界に私だけ…?と思っていました(当然その考えは正しくなかったです)。

 

そうこうしているうちに3年生の12月から留学が始まり、ドタバタとした日々が始まりました。日々楽しいことや辛いこともありつつ充実した生活を送っていました(留学の様子は過去の記事を参照してください)。留学始まったばかりの頃はミャンマー語に不安があったので、慣れてきた後半に調査をしようと計画していました。前半は細々と調査っぽいものをたまーにやっていました。ショッピングセンターに行って脱毛商品を探す、Facebookで脱毛広告がないかチェック、脱毛体験などの動画や記事を探すなどです。

そして留学も後半に入る4月5月ごろに5人の大学の友人に1時間から1時間半の聞き取り調査を行いました。必ず尋ねる項目以外は自由に話してもらう半構造化質問の形をとりました。調査人数の目標は8人として、残りの3人は日本に帰国後に留学生を対象にしようと考えていました。

自分でたてた問いに自分が考えた方法で一つの答えを探していくという経験は、人生で初めてのことですごく楽しかったです。何より日ごろからものぐさがりで人見知りする私が、自分の知りたいと思ったことを知るために計画を立て人に話を聞いたり、調査するという経験が、自己効力感や自信に繋がりました。

 

帰国後は所属している文化人類学ゼミで、卒論の構想を発表したり、研究の進捗を報告しました。指導教官はミャンマーの上座部仏教・文化人類学がご専門で、私のテーマを聞いて当初は困惑した様子でしたが、私の興味を尊重してくれて現実的に扱えるテーマになるように親身になってアドバイスをしていただきました。最初は女性の腕や足の体毛についてのみを扱おうと考えていましたが、教官やゼミ生のアドバイスで、頭や脇の毛に関しても扱うことにしました。同じ「体毛」でもその扱い方に違いがあり、そこを考えることで部位ごとに付与されているイメージや意味を相対的に明らかにできるのでは、という狙いでした。

こうしてテーマが完全に固まったのは4年生の秋頃です。テーマが完全に固まっていない時でも、4年の春から夏にかけてはミャンマーの頭髪に関する文献を集めたり、序論を何稿か書いたり卒論の準備や執筆は進めていました。先行研究もその頃いくつか読みました。先行研究を読むことは調査を行う前にやっておいた方が理想的だと思いますが、前述のように留学前にCiNiiで検索してもうまく見つからなかったので後回しにしていました。そのため4年の夏ごろにGoogle Scholarで英語で検索したら山ほどの先行研究を見つけたときは、嬉しさや安心感よりもこんなに大量の文献をどうしよう…と不安と焦りが大きかったです。とりあえず、自身のテーマに関連が強いテーマで引用数が多いものやそこで言及されている論文などを中心にいくつか読みました。ネットや大学の図書館にないものが多く、図書館のサービスで他大学から印刷物を取り寄せてもらいました。その場合印刷代と郵便代がかかります。

 

そうこうして、秋から冬にかけて序論を何度もリライトしたり、文献調査の結果をまとめたり、インビュー調査の内容を分析・考察したりをしていました。2,3週間に1回ゼミで進捗報告があったので、それに向けて日々執筆を進めました。また当初予定していた追加インタビューは結局叶わず、留学中にインタビューした5人への追加調査を行って調査は終了しました。そして1月6日に卒論を提出して、私の卒論執筆は終了しました。

先行研究が少なかったり、インタビューの人数が少なかったりと十分なデータを扱うことができないままではありましたが、自分なりの結論を見つけることができてとても満足しています。

次回は、「ミャンマー人女性の体毛」調査で分かったことと私の考察を書きたいと思います。