カレェちゃん

ヤンゴンにいたカレェちゃんです。最近は働いています。賃金労働に反対している。

ミャンマー映画『ဟစ္တိုင္(直訴の場)』を観ました。

こんにちは、カレェちゃんです。

ミャンマー映画『ဟစ္တိုင္』(Zawgyi推奨)を観に行ってきました。

タイトルの意味は、王朝時代の「直訴の場」「人々が王に不満を述べるために建てられたポスト」という感じのようです。

 

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前回に同じくあらすじを特に調べずに劇場に行きました。

ただ映画館の前に刃物を持った主人公のパネルがあって、なんだか気になったので選んでみました。

一応下のオフィシャルトレイラーを見てみたけどあらすじは分からなかったです。


ဟစ္တိုင္ Official trailer

 

なんとなく怖い感じ?スリラー系かなと思っていましたが中身は怖いというよりは重い内容で社会派でした。でも劇場では結構家族連れを見かけました。気まずそう。。年齢制限はないのだろうか。

 

あらすじを書くとするなら、

夫に先立たれた主人公・ダウンニー(エンダラチョージン)は姑の元で働きながら、愛娘と二人で貧しくも明るく暮らしていた。姑との衝突、義弟との関係に翻弄されながらも、義理の姉と妹それぞれの夫婦生活や結婚観について相談を受ける。そんな中、村で若い女性の自殺事件が起こる。。

こんな感じです。

 

 

以下はもっと詳しい内容(ネタばれ)を含みます。少し重い内容なのでそういう気分じゃないという方はまた今度!

 

 

主人公は夫に先立たれたダウンニーという女性。元夫の実家はお金持ちですが一緒には住まず、小さな家で母娘二人で暮らしています。娘は6歳。かわいい。

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彼女の姑には4人の子供がいて、元夫の他に、次男、長女、次女がいました。

 

義弟役のစိုင္းဝဏၰေအာင္がシンガポールに勤める医者役で、登場シーンがめちゃくちゃかっこよかった。

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この次男が帰国して、ダウンニーと結ばれるのか!?みたいな展開になりますが、最終的にはくっつかずに終わります。

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映画の中の一番根幹の話を書くと

 

ある日、ダウンニーの友人の女性が、産気づいた妹のために服を取りに家に一人で向かう時、送ってくれた妹の夫とその友人の男が彼女を襲いました。(理由はよくわからなかった)その時、男はスマホで撮影をしていました。襲われた後彼女は誰にも助けを求めることが出来ず、自ら命を絶ってしまいました。

後日彼女のお葬式で、友人の突然の死にショックを受けているダウンニー。「こんな前触れもなく、しかも女性が自ら死を選ぶ理由なんてレイプされたとしか考えられない」と察します。第一発見者だという妹の夫はそれを聞いてしどろもどろになります。しかし同席した同じく加害者の男は上手いこと言って(聞き取れなかった…)その場を免れます。

 

その事件からしばらく経ち、家族のいざこざも落ち着き、ダウンニー親子は姑の家に引っ越すことになりました。荷造りをしている最中、買い与えた覚えのないマニキュアや化粧品を娘が持っているのを発見します。すぐさま問いただすと「(次女の部屋で遊んでいるときに)つい出来心で借りてきちゃった…」と告白する娘。ダウンニーは激怒し、人の物を盗む人は自分の娘じゃない、と家から追い出してしまいます。

(ここでもうすでに嫌な予感)

 

泣いている娘に気付いた隣に住んでいるじいさんが娘を家に連れ込みます。そこにはじいさんの息子も。なんとその息子は、あの自殺してこの世を去った女性を強姦した加害者でした。そして最悪な事態になってしまいまいした。泣き叫ぶ少女を必死に押さえつけるじいさんと息子。

少女の叫びが聞こえた気がしたダウンニーは娘を探し回ります。隣のじいさんは挙動不審ながらも知らんふり。当てもなく村を探し回り、ついには草の生い茂る原っぱにたどり着きます。すると草むらから飛び出して逃げていく男の姿が。男が飛び出してきた場所に近づいてみると、そこには娘の服の一部が。さっと血の気が引いて「どうか娘じゃありませんように」と泣きながら何度も祈ります。そして娘がいました。長い刃物で刺され、股から血を流し身動き一つしない娘。ダウンニーは絶望して泣き叫びます。

娘を抱き刃物を持ち呆然と村へと戻るダウンニー。村人もただ事ではないと彼女を追いかけます。そして隣の家までたどり着いたとき、あの男とじいさんは見るからに慌てて「どうしたんだ!血が出てるじゃないか!」と騒ぎ出します。しかしダウンニーは草むらから出てきた男がこいつだとすぐにわかりました。彼女は持っていた刃物を思い切り振りかぶり男を切りつけました。そしてそこにいたじいさんも同罪であると直感した彼女は叫び、逃げ惑うじいさんを原っぱで捕まえついに何度も切りつけ殺害します。

ここでトレイラーの映像と繋がるわけです。

 

ダウンニーはその後警察に連行されましたが、事情を知った人々が彼女を解放するようデモを行います。彼女は人々の前で話すことが許され、二度とこのような事件が繰り返されないようにと悲痛な思いを叫びました。

 

そして映画は終了。

大分端折りましたが、大事な所だけご紹介しました。

この映画には原作があってဆရာမ သွ်င္မという方の小説です。児童レイプ事件を題材とした作品です。

 

私の感想としてはまず映画としてのクオリティが高いので驚きました。今まで5本しかミャンマー映画を観たことがないけど一番映像が綺麗で安っぽくなくて、ストーリーも驚かされたり感動させられる場面があって途中で飽きることはなかったです。

この映画の制作会社がနန္းေဒဝီ/NANDAEWEI というところで上のトレイラーにも映画が始まる前にもしっかりした映像が流れてて(⬇︎こういうの)、新しいな〜と思いました。f:id:kare_chang:20190525150652j:image

しっかりした会社だ…!と最初にわかったので中身も期待できました。

 

そして全体的に女性の為の映画だと思いました。

レイプ事件もそうですが、その他にもダウンニーの義理の妹1が「なぜ女は自分の好きな人と結婚できないのか」と言ったり、義理の妹2が夫の浮気に悩んだり、ミャンマー女性の苦悩を問題提起しているように思います。

前記事の「タメイン問題」の展示に続き、ミャンマーでも女性についての再考の機運が高まっていくのではないでしょうか。