こんにちは、カレェちゃんです。大学の秋学期の授業も終わり本格的な春休みがスタートしています。就職活動とバイトで忙しい日々になりそうです。
今回も歌集についてご紹介したいと思います。
柴田葵『母の愛、僕のラブ』書肆侃侃房
柴田葵さんの連歌「母の愛、僕のラブ」が第一回笹井宏之賞大賞を受賞して、その副賞として刊行された歌集です。
本を購入する前は帯にもある
プリキュアになるならわたしはキュアおでん 熱いハートのキュアおでんだよ
バーミヤンの桃ぱっかんと割れる夜あなたを殴れば店員がくる
の短歌を見て不思議な、言葉遊びを楽しむ短歌が多いのかなという印象でした。
本を購入して作品を鑑賞するようになると、日常生活における自分や世界を俯瞰してどこか冷静な状態で詠んでいる作品と、すごく近距離で観察している作品(特にお母さんに関して)があるなと感じました。
生煮えの白玉かよ浮きもせず溶け込みもせず笑うアルバム
「生煮えの白玉かよ」というつっこみで何が?と思うと「笑うアルバム」で、例えがうまいなグッときて、同時にさみしさも感じました。過去の自分のふわふわした寄る辺なさを指摘しつつも現在に対する鏡にもなっているような一首のような気がします。
窓際のマトリョーシカはかろやかに女が女に女へはいる
妊娠がわかって産婦人科をおとずれる歌の次におかれた歌。マトリョーシカ、そういえばそういう置物だったな。女が女からどんどん出てくる。なんかグロテスクに思えてきたからミッフィーとかバーバパパとかかわいらしいキャラクターのマトリョーシカだけ今後見かけたい。
かわいいなあ くまはかわいい 人よりもずっと軽くてポリエステルで
「くま」ってぬいぐるみのことかってにやっとして、マトリョーシカにも通じる、簡略化されてある機能(可愛いさ、再生産性)だけが残ることの異質さとか、ぬいぐるみとしてのくまの無害さが生む安心感とかを感じました。
ほかにも好きだなと思った歌は、
グッモーニンカリフォルニア!寝室の窓を壊して射し込む光
鳩ぽっぽ地面の光をついばんで朝をよろこぶ正しさが嫌
昼ごはんベンチで食べたら鳩がきてまた鳩がきていちめんの鳩
鳩を詠む歌が多い気がしました。
お母さんを詠む歌では、
僕らはママの健全なスヌーピーできるだけ死なないから撫でて
母さんの思い出話を聞いている醤油こんなに干からびさせて
とお母さんの近くにいる僕の主観から読んだ歌がビビッドで強烈です。
最後に一首、
朝からもうがんがん暑いイチゴジャム甘すぎる赤すぎるきれいだ
この歌で大学二年生の時ミャンマーで宿泊していたホステルの朝食を思い出しました。真っ赤でゼリー状で人口味のイチゴジャムと、日本で見るよりだいぶ黄色いバターを塗って、20枚切りくらいの薄さの小さなトーストを毎朝、ダウンタウンの細い路地を二階から見下ろしながら食べていました。多分朝から暑かったです。